いじられ好きな人妻/すけべな性感帯 ★★★★★

最初にスタッフのテロップが出るピンク映画今までで初めて見たかも。村上春樹似の芳田正浩が一人山の中鳥を撮影しているシーンは『ダック・コール』を思い出した。彼はしゃべり方が丁寧で落ち着いていて、脱サラして夢を追い求めようと突き進む姿が自然に思える。好感度高し。
本作は97年作品。久須美欽一が今の牧村耕次が演じているような脂の乗り切った中年の役を演じていて、だいたい布団の中で寝ている介護老人という彼のイメージがある俺としてはとても新鮮だった。相変わらず声が可愛い杉原みさおはカーセックスを撮影されているときにカメラに向かってポーズをしていて、何を求められているかを把握した芸人っぽさがある。自分の役目を理解している人なのだろうな。なんとなく光浦靖子を思い出した。顔は相方の大久保佳代子にかなり似ている。しのざきさとみのこれぞ熟女という感じのハスキーヴォイスは国宝級だと思う。
藤澤英樹は道路の真ん中で大の字になるという捨て身すぎるナンパをしていて面白かった。
飯島恋と藤澤がカーセックスしていることを知ってションボリと車のドアを背にうずくまる芳田は観ていて可哀想になる。
愛されることばかり考えていた彼女が、夫のやりたいことを受け入れて彼が撮るカーセックス写真のモデルになる。本作は飯島の成長が描かれていて好き。でもラストの芳田が見た飯島の幻覚はなんなんだ。やっぱり妻が男とカーセックスしていたのはトラウマだったのかなあ。あと飯島のセックス相手の藤澤が撮影前に“お手伝いさせていただきます”と芳田に丁寧に言っていて笑った。こんな状況だとこうなるしかないよなあ。夫婦が薄暗い無人の浜辺で口論する場面の風景は、一面に広がった雲り空が不穏で素晴らしい。