痴漢温泉 みだら湯覗き旅 ★★★

池島ゆたか監督作のミュージカル映画ということで期待し過ぎた。大場一魅の歌とギターが全面的に使われていて嬉しい(「世界の果てでダンス」の演奏もあり)のだけど、出演者たちの踊りが投げやりでがっかり。他愛ないコメディだからこそ、きっちり踊ってほしかった。踊りの場面で全身を映そうとしているところは支持する。
登場人物の悩みに深刻さを感じられないので、不思議な温泉宿で幻覚を味わって“明日を生きる力”を得て明るく帰るというストーリーには大袈裟な印象を受けた。主人公たちは癒されるだけで、特に自分たちは何もしていないし。なかみつせいじに至っては自分を罠にはめた池島が失脚するという、外部の要因の好転まであるのがなあ。“温泉でリフレッシュしてきた”で終わりそうな話をちゃんとピンク映画として膨らませているのは流石。“死にたい”ばかり言う真咲南朋は何度も自殺未遂をするのだけど、観ていて「死ね」とは思えない明るさがある。痴漢に対してさんづけで呼んだり、なかみつにKAO(かたい、あつい、おおきい)という綽名をつけていたりしてノリの良いところが好き。俺は彼女のことを気に入っているので好意的に観てしまう。野村貴浩となかみつせいじがそれぞれ職業欄に劇空間プロデューサー、全身小説家と書いていたのが可笑しい。パイパンの若葉麗子の性器が少し見える。野村が好いている女性に日高ゆりあ、久保田泰也の浮気相手に倖田李梨(登場するシーンは冒頭の携帯電話の画像でだけだが、メールの内容に汚れ役が似合う彼女らしさが出ていたので妙に印象深い)。