黒の挑発 未亡人が疼くとき ★★★★

ピンク映画愛を感じる作品。観客数の減少、家族や世間のピンク映画に対する下げた見方などがあって一度は閉館を決める館主のイヴ、そんな彼女が最後に上映される予定の『イヴちゃんの花びら』(自分が主演のピンク映画)を観てやっぱりピンク映画館を続けることを決意する。イヴを知らない自分が観てグッときたので、昔からのイヴファンが本作を観たらどう感じるのかが知りたい。イヴがピンク映画に対して言った“無名の映画人たちが頑張って作っているのよ!”というようなセリフが印象的。『イヴちゃんの花びら』でイヴがビールを飲む姿と、彼女の義理の娘がビールを飲む姿とがそっくりで、血がつながっていなくても親子なのだと感じさせる。布施拓はピンク映画の役者がよく魅せる張ったテンションではなくて、しかも国沢実のようなひょうきんさも無い、まるでそのへんを歩いている人を捕まえて演じさせているのではないかと思える普通さを持っている。だからこそ、そんな彼が北斗座を一般映画館にしてくれとイヴに頼むシーンには違和感が無かった。あと、藤田佳昭がゴミを蹴り飛ばしてバランスを崩し、尻がごみ箱にすっぽり嵌っていたのは間抜けで可笑しかった。