夫婦夜話 さかり妻たちの欲求 ★★★★

ピンク版『P.S.アイ・ラヴ・ユー』と言える良作。主人公を演じた夏川亜咲のまるでアイドルのような魅力が満点。山口真里にビンタされてもケロっとしているところなんかはコメディみたいな軽みがあるし、ラストのストップ・モーションでスクリーンいっぱいに映る笑顔なんてまさにアイドルのそれだ。酔っ払った夏川が夫と間違えてなかみつせいじに絡み出したときに彼が言った「俺には恋女房がいるんだ。二人一緒に愛せるほど器用じゃねえんだよ。」という台詞が素敵。西岡秀樹は既に亡くなっているはずなのに、夏川の夫の妹である藍山みなみが夏川に対して、兄の死を知らない感じの台詞を喋っていたのは違和感があった。愛のない結婚をしてしまった藍山が結婚生活に対して「下り坂だから惰性で下れるのよ。」と言った後の夏川の「上り坂になったらどうするんですか?惰性だったら止まっちゃうじゃないですか!」と言う台詞は、映画を観て行くにしたがって夫が死んでいると分かるだけにどんどん沁みてくる。藍山と吉岡睦雄の絡みは、吉岡がビデオカメラで撮影している映像がディスプレイに大きく映るというもので、一つのスクリーンで二つのアングルが楽しめる斬新なシーン。これによってカット割りが少なくなっていたのは嬉しかった。