ノーパン通勤 脱がせて! ★★★★

アナログ盤のチリチリノイズで始まるシーンが好き。主人公の佐藤幹雄はちょっとスカして無気力な役で、こうした人物はいつもなら観ていて鼻につくのだけど、不思議といらつかなかった。DJの練習でミックステープを作って失敗して寝転がる姿だとか、痴漢をする時に目玉をキョロキョロ動かす仕草に愛嬌があったからだと思う。何もない人物が何もないままで終わる怖さというか、セックスフレンドの池谷早苗とも別れ心を寄せる山崎瞳(ドノヴァン似)も離れていった彼の活路のなさが描かれていて、観ていてヒリヒリした。このヒリヒリ感が痴漢シーンのそれと近くて相乗効果があったのも楽しめた要因の一つ。これはこれで好きなんだけど、彼が山崎瞳に思いを寄せていることが分かるシーンをもっと入れたり、DJを通して彼が成長していく映画だったらもっと楽したのになあ。彼が電車から駅を出るまでをワンカットで撮ったラストシーンは観ていてぞくぞくした。必見。Captain Comebackと面影ラッキーホールの音楽も素晴らしい。