貝あわせ こすれ合う股ぐら ★★★★

夏目今日子の肌が汚いのが残念。饗場圭一は夏目の洗濯物がたたみ終わるのを待ってから彼女の体を求めるまでの間が妙に生々しい。レズビアンであるということを人前で恥じている小さな眼をしょぼしょぼさせた夏目と、自分がレズビアンであることを隠さないで堂々と生きているナンシー(電車の中や夏目の婚約者と家族の前でキスをする)のきりっとした表情が対照的だったのが印象に残った。キャスティングはとても成功していると思う。ナンシーは思いっきり走っているシーンが何度もあって、嘘偽りなく自分の道を歩んでいる彼女らしい。団らんの食卓の下でまさぐりあうのに炬燵って使えるよなあ。赤みがかったランプもエロさを引き立てるしね。夏目がナンシーと初めて絡むまでのシーンは、キスにびっくりしたり、黙りこんだりして何度も躊躇しながらも自分の殻をゆっくりと割っていく夏目の様子が丁寧に描かれていた。さらっとセックスシーンに移行しなかったのは偉い。自分自身であることを恥じないっていうメッセージが感じられてとても好きな本作だけど、夏目がデスクに上がってレズビアンであることを告白するのは大袈裟だったなあ。偶然再開した夏目とナンシーが遠くから微笑んで見つめあうだけで、お互いが別々の道を歩むラストはドライで好き。人と人とは分かり合えないけど、他人とぶつかりあうことでこそ変わっていけるのだと改めて思った。