鈴木祥子@渋谷公会堂

ここ二週間ほど彼女にはまっていたのでかなり楽しみにしていた。きっかけは新作『SWEET SERENITY』のジャケット(大塚愛のジャケと似ているけど、断然こっち!)に惹かれたのと、借りてみた初期ベスト盤『Harvest』がとても良かったから。彼女のことは以前鬼木雄二のライヴに行った時に見たことはあって、その時演奏していた「舟」や「三月のせい」がとても良い曲だったし、ビッグ・スターのカヴァーをやったりしていて気になってはいたのだけど、いままでちゃんと聴かずじまいで反省した。今日はデビュー20周年記念ライヴということで新旧幅広く演奏してくれて大満足。

小さいシャンデリアが飾ってあるステージに赤いドレスで登場した彼女がまずはピアノで「夏はどこへ行った」と「優しい雨」を、その次はウーリッツァーで「わたしの望み」を演奏。ワンマン録音したアルバム『Love, painful love』からの曲だけに輪郭がしっかりしてる。続く「風に折れない花」は『Harvest』でも好きな曲なので演ってくれてうれしい。
ギタリストの小倉博和が登場してからの「風の扉」は彼女のハーモニカの演奏も相まって素晴らしかった。あとオグシオをもじったギャグでオグ・ショコと言っていた。
MCは四十代になってからの心境(自己肯定的になるとか、30代と聞くと若く感じるとか)が多かった。あと『SWEET SERENITY』の曲は東京と京都で書かれたものが半分づつ入っているらしい。バンド演奏での「水の冠」はサビのフックがたまらない名曲。立て続けに新作から「ローズピンクのチーク」、「Father Figure」、「本当は哀しい関係」を演奏。そういえば、「Father Figure」を聴いていて気がついたけど、彼女ってtheの発音が片仮名のザじゃないから嬉しい。だから英語の曲のカヴァーもあんまり違和感がない。あと新作で一番好きな「本当は哀しい関係」を聴けて嬉しかったな。この曲は歌詞カードの行替えが妙チクリンで面白いんだよなあ。 続く「忘却」は30代最後に書いた曲らしい。 『鈴木祥子』に収録されているこの曲の印象はライヴの方が遥かに良かった。ヴォーカルを生で聴くと魅力が伝わってくる。CDでも聴き返そうっと。
小休止のあと、ギター持って「ELECTRIC FINGERZ」を演奏。この曲はやたらとヴォーカルが甲高くて若々しいんだよなあ。10年前のアルバム『私小説』の頃のヴォーカルの方が年上な気がしてくるから不思議。「ラジオのように」もやってくれてうれしい。セルフカヴァーしているくらいだからやってくれると思った。
ロック色の強い『SNAPSHOTS』からも「TRUE ROMANCE」 や「月とスナップショッツ」をやってくれたのは嬉しい意外だった。 しまいには彼女がドラムを叩き出して大盛り上がり。
アンコールでは大傑作アルバムのタイトル曲「あたらしい愛の詩」!やっぱり名曲だわ。この曲のラストは岡村靖幸「Young oh! oh!」を思い出す。
そして小倉博和のギターをバックに小躍りしながらの「SWEET SERENITY & chocolate milk-tea」。この曲はCDだとギターとヴォーカルのみだけど、ライヴではリズムボックスを使っていて、ドラマーでもある彼女の曲ではなんだか珍しいと思った。今日はこの曲が一番良かったなあ。特にサビの伸び(CDではヴォーカルを重ねている部分)から少し早くなるところの流れがスムーズだった。「Happiness」の紹介では歌詞に25歳というフレーズがあることに対してプロデューサーと揉めたけど押し通したと言っていた。この間25になった身としてグッとくる深い詩の曲だ。
2回目のアンコールでは「5years, / AND THEN...」 と「逆プロポーズ(仮。) 」をやってくれた。結局新作でやらなかったのは「まだ30代の女」だけ。年齢の話題が多かったからやると思ったのに。
3回目のアンコールでは「Angel」。CDだとホーンが多用されている曲だけど、とても伸びやかで変幻自在な彼女のヴォーカルの魅力が堪能できる曲と再認識した。

ファンになりたての丁度なタイミングにこんなに素晴らしいライヴが見れて幸せ。バックバンドのノイズが気になったけど音響がとてもよかったのも印象的だった。やっぱりコンサートホールは違うわ。