アメリカン・スプレンダー ★★★★

ポール・ジアマッティはなんて生き詰まり感を表現するのが上手いのだろう。毛むくじゃらな裸体をこれでもかと披露してくれて嬉しいことこの上ない。ホープ・デイヴィス演じるどんくさい感じの妻も意外と芯があって強い。
本作を観て思ったのは、創作することは楽しみでもあり、苦しみでもあるということ。でもそれをせずにはいられない。創作は生きることそのものだという業のようなものを感じる。
漫画家として有名になって、妻と一緒にいても狷介でどこか孤独なハービー・ピーカーはときに寂しくて泣き出すこともある。そんな姿を見ていると、それでも自分は一人しかいないし、人にはそれぞれやるべきことがあるから生き続けなきゃという気になる。まだまだ創作意欲に溢れているハービー本人の姿がそれを物語っているかのようでとても勇気付けられる。
皆が彼の誕生日を祝う最後のシーンは返って孤独感が伝わる。同じく誕生日を祝う場面で終わる「Motel of Fools」を聴き返したくなった。
劇中で「American Splendor」(名曲)を歌っているアイタン・マースキーが使われているのも納得。彼の曲が使われているという「ハピネス」も観なきゃ。本作と同じシャリ・スプリンガー・バーマンとロバート・プルチーニ監督作の「The Nanny Diaries」も楽しみ。
それにしても「ミーシャ・バートンのSex in Ohio」といい、最近オハイオ州づいてるなあ。クリーブランドが舞台の映画は場末感があって好き。