チャック & バック ★★★★★

アンナ・ワロンカーのサイト*1を見てメアリー・ウィグモアが気になったので観たら掘り出し物だった。マイク・ホワイトって本当に成長を描くのが上手いなあ。観ていて自分と向き合って大人にならなければならないと思わせる。そして映画の中で苦しみとそれを乗り越えるまでが描かれて完結しているから観終わった後が清々しい。これから苦しんで乗り越えるのは観ている自分自身なんだって言われているような気がする。
チャック役のクリス・ウェイツがモーテルでバックを受け入れたのは、昔自分からバックを誘ったという責任を感じていたってのがあるのかな。あとバックの作った演劇を見て過去が穿り返されたのもあるかも。お互いが成長していくこのシーンは観ていて無性に嬉しかった。ラストのケーキを平らげるシーンも子供らしさを受け入れて成長してく主人公を表しているようで印象的だった。
チャックの恋人役のべス・コルトや劇場管理人のルーペ・オンティヴェロスがひたすら大人だから観ていてバックの心の変わりように集中できるのもうまい。
過去を振り切るかのようにして周りのおもちゃなどを片っ端から捨てたバックがコラージュだけをゴミ箱から拾い出すの場面も大切な思い出はそのままで成長する感じが出ていてグッと来る。「彼女は夢見るドラマクイーン」といい、コラージュが出てくる映画は素晴らしいなあ。コラージュって妄想の象徴という感じがする。
投げやりな秘書っぷりが楽しいマーヤ・ルドルフはレンタルズにも参加していたのか。ポール・ウェイツが下手な役者役で面白い。朴訥とした台詞回しが素晴らしいのでもっと役者として映画に出れば良いのに。
劇中何度も執拗にかかるグウェンドリン・サンフォード*2 *3の「Freedom of the Heart」は名曲。人物が成長しても歌は普遍。彼女の作品*4を早速CD babyで注文した。本作を観て得た最大の収穫は彼女を知れたことだと思う。トニー・マックスウェルも本名で出てくるのでザット・ドッグ好きは必見。ぺトラ・へイデンのアカペラも子供らしさとどこか奇妙な感じが相俟っていて本作にぴったり。