84 Nash 「A Secret Reward」

2003年発表。全15曲34分58秒
傑作
Rockathon Recordsと袂を分かち、自主レーベルInsect Siren Recordsを立ち上げてリリースされた3rdアルバム。
前作と同様ハンメルの「Center of Japanese Helium」スタジオでレコーディングされたが、以前よりも音質が格段に向上している。元々ケヴィンの声質はハイファイでこそ映えるものだったし、ハイファイになる事で彼が高音域でヘリウムを吸ったような声になった時に曲が自然とサイケ度を増すのがより分かりやすくなって嬉しい。
また、新ドラマーとして加入したジェイムズ・ブラントのドカドカ、タカタカドラムが一々素晴らしい。アンディのギターもヘルマンのべースも「今までと同じ人達?」と思えるほど素人臭さが抜けて洗練されている。そんな向上した楽器隊に負けないでケヴィンの声が前面に押し出されているのが凄い。この時点でもうメジャー以降のGBVを髣髴とさせる貫禄を見せているもんなあ。来年出るという次回作が滅茶苦茶楽しみ。
実入りの屁のような名無しの1曲目を経てタカタカドラムが高らかに鳴る「false start」。これを聴いたとたんに今までのヘロヘロ路線を望んでいた人は去っていきそうだ。「Sign O' the rhymes」なんて曲があることからも分かるように、彼ら(ケヴィン)ってプリンスはもちろん好きだし、他にもパブリック・エネミーも好きなようだ*1。彼らの巧みなリズムがロックだけの偏らない嗜好から来ている事が窺える。実際この曲のドラムはガンガン腰に来るし、コードを追っているだけで楽しい「Mathematical Park」等、瑞々しい名曲多し。
っていうか今の彼らの年齢っておそらく26、7歳なんだけど、これってロバートがGBVとしてデビューした年齢なんだよなあ。まだまだこれからってことだよ。