「シー・デビル」

面白い。メリル・ストリープが好演。彼女が限界までしゃくれさせているジャケットも素晴らしい。
復讐に燃える妻(ロザンヌ・バー)と愛人に溺れる夫(エド・ベグリー・jr.)の両方を応援してしまい、結局二倍楽しめた。
メリルが自分の手に付いたガムに「ニコレット!」と言いながらブン投げて八つ当たりしたもんだからてっきりニコチンガムのことかと思ったら娘(エリザベス・ピーターズ)の名前だった。
彼女って笑いから泣きへの移行が素晴らしく滑らかで、「なんでこんな映画に出てるんだろう」って嘆いているような気にさせる。でもそれ以外の場面では凄く楽しそうに演じていて、「やっぱりコメディ好きなんだなあ」と感じさせる。
彼女がアゴをがっしりと掴まれながら「あなた疲れて見えるわね」っ言われる場面や、このとき彼女が尻尾を引っ張られたドラえもんみたいに憮然とした表情をするのが面白い。
四つんばいで尻を振りながら「私はアーチストよ!」と叫ぶ場面は鬼気迫るものがある。今の中年女優は彼女の吹っ切れた演技を見習ってこういうコメディに出ておくべき。