熟女 淫らに乱れて ★★★★★

とても印象深い、凄い映画を観てしまったという感想。
冒頭で速水今日子がクルマのドアを開けた時にちらっと見える“介護の店 トマト”の文字を観ただけでもう、これはひょっとして凄い映画なのでは?と思ったらその通りだった。説明が上手いというか、一瞬一瞬の場面を観るだけで色々妄想が喚起させられる。寝そべった伊藤猛の目線で廊下を映したカットから、速水との絡みへの自然な流れは素晴らしい。今まで観た絡みの中でも屈指のエロさ。かつての恋人である伊藤と出会うたびにほたる(葉月蛍)が欲情して現在の恋人の守屋文雄と絡むシーンも自然で無駄がない。欲情が観ていて伝わる映画ってすごいなあ。コインランドリーで一万円札を見つけた伊東がホテトル嬢・立木ゆりあを呼ぶシーンへの流れも、自分が男だからか納得できた。
食べ物がおいしそうなところも素晴らしい。特に、伊東が妻に会いに行く道中でほおばる握り飯の美味しそうなことときたら、スクーターから取り出す場面含めて。いつもの自分なら孤独に生きていく主人公っていうストーリーだけに心惹かれるのだけど、今作は初めから最後まで全てのシーンが愛おしい。伊藤の声がぼそぼそしていて聞き取りづらい(そこがまた良いのだけど)ので、ぜひともピンク大賞で再見したい。