Pixies「Ain't That Pretty At All 」

ウォーレン・ジヴォンのトリビュート盤「Enjoy Every Sandwich: The Songs Of Warren Zevon」に収録されている、再結成後のピクシーズとしては二作目の音源。
ピクシーズというか、フランク・ブラックが彼のトリビュートに参加し、この曲を選んだのはフランクのソロを聴いていると必然とも思える。
フランクはソロになってからアーロ・ガスリーやキンクスボブ・ディランブルース・スプリングスティーン、ダグ・サーム等のカバーを途方もない愛を込めて行ってきた。しかし、それらのどれもが奇妙にはみ出していた。例えるなら、愛しすぎて抱きしめまくって首が取れてしまったぬいぐるみのようなカバーであった。そして、そんな奇抜さをことさらにひけらかすようなことは一切してこなかった(逆に、フォロワーは狂ったふりをして目立とうとばかりしていた。自殺したアホもいた。)。このように、だた淡々とはみ出しながら、ソロで10年間休みなく活動を続けてきた彼は、まさに"あがいて"いたのである。
この曲「Ain't That Pretty At All」も"あがき"について書かれたものだと思う。最後の方のキム・ディールの笑いもフランクのはしゃぎっぷりに対するものであると同時に、あがいている人が辛さを笑い飛ばしている。というようにも聴こえる。フランクを含めたメンバーの生き様と歌詞が良く合っている。
曲はピクシーズの「Dead」風のイントロで始まり、フランクのギターの映え具合も良好。まるでリードギターが二人いるみたいじゃないか。そしてサンチャゴのギターに搾り出されるようにフランクが吠える!自問自答とも思える歌詞の一部がキムとの会話になっていて、効果的。特にフランクが"How'd you like it, Kimmie? " という所を聴くと、二人の仲も良くなったんだと思わずほころんでしまう。
このアットホームなブチ切れ具合はさすが。聴けば聴くほどピクシーズのニューアルバムが楽しみになる。