2009年まとめ

2009年はロバート・ポラードが今までで最も質量共に充実していた年として記憶する。一年中彼の新譜に興奮しっぱなしだった。ロバート関連作品ばかり聴いていたのもあってか他の音楽をあまり聴けなかったのが反省点。他にはビートルズのリマスター盤BOXを購入して、ビートルズもよく聴いた。キンクスやフーと比べてきちんと聴くタイミングを逃していたので絶好の機会。一躍彼らが身近な存在になった。今のところ「All Together Now」が一番好き。ティム・クリステンセンのこのビデオをふと見てビートルズモンティ・パイソンを思い出しておっとなったり、世界に散りばめられたビートルズのフレーバーに反応するようになったのも収穫だった。

ジョー・ストラマーも気に入った。"彼もGBVみたいに「Johnny Appleseed」という曲を書いているのか!"と何気なく試聴したらそれが名曲で驚いたのがきっかけ。ケツの穴が広いというか、この道一筋な"〜バカこそ至高"な意見に反発を覚える自分には彼のごった煮な音楽はしっくり来た。当然クラッシュも気に入った。「Tommy Gun」を聴いてSouthgate Houseを思い出したり。「Washington Bullets」は可愛らしい曲調に可愛らしくない歌詞で一番好き。

あと、2008年末に好きになったパール・ジャムが出した『Backspacer』は今までの彼らからしたら驚くほどコンパクトな良作。2008年のまとめに"ロバートの近作は彼らに接近している"なんて書いたら彼らの方からロバートに接近するような作品を作ってくれて妙に嬉しかった。ロバートと彼らの目指すところはザ・フーで一緒なのだと思う。


映画はピンク映画を168本観た。つまらない映画も沢山あるけれど、面白い映画も同じくらいあるのだと分かった。とか言いつつ自分の星取表を振り返るとつまらない:おもしろいの比率は大体2:8で甘め。今まではピンク大賞くらいでしかピンクを観る機会がなく新鮮だったというのもあって面白がっていた部分もある。これからは自分の為にもう少し厳しく星をつけよう。映画館は痴漢と女装オカマとゲイの巣窟で、最初は痴漢に怯えていたが、しばらくしてから痴漢されることもなくなって安全に映画を観ることが出来るようになった。上映中に喫煙したり、唾を吐いたりする客が多いのには慣れたけれど、さすがに後ろの方の席で挿入してヒーヒー掠れ声&ミリミリ裂ける音を漏らすのは止めて欲しい。気に入った映画を振り返ると渡辺元嗣作品が多い。彼の作品は軽みがあるし、ヒロインがアイドルのように可愛いので好き。アニメっぽいギャグセンスが抑えられた佐藤吏の『三匹の奴隷』は傑作。今作や『よがり妻』、『不倫旅行 恥悦ぬき昇天』に出演していた亜紗美は自分の中での2009年の主演女優賞。あと竹洞作品には駄作が無いので、はずれを引きたくない人にはおすすめ。歌と映画のつながりが弱いピンク映画の中でキョロ・ザ・ワールドの楽曲をフィーチャーしているところも支持したい。
旧作で一番面白かったのは『痴漢電車 下着検札』。大傑作!コメディ、サスペンス、痴漢、フットファック、すべてが詰まっている。螢雪次郎が電車内で「マン拓」をとってまわるシーンはうんこもタンポンも出てくるので最高!あまりに面白かったので二回も観て気がついたけど、伏線をきちんと回収していて舌を巻く。滝田洋二郎って凄い監督だ。質量感あふれる乳が山のような絡みのアングルも素晴らしいし、"張作霖って誰?”"張本さんの本名でしょう。”っていう台詞も面白かった。竹中ナオト演じる文豪・松木清張がアップで迫るシーンで、彼がスクリーンに迫るのに応じて横に並んでいた二人が徐々に左右に遠ざかっていくところも細かい心配り。山崎邦紀作品でよく観るマンコから写したカットがあったり、序盤の痴漢シーンで流れる音楽が渡邊元嗣『痴漢電車 しのび指は夢気分』のそれと同じだったりして、ピンクの手法が脈々と受け継がれているのだと感動した。